循環型産業の可能性

12.基地駆除へ「アブシバレー」

2012年4月6日:琉球新報寄稿

s_oosirosensei 伝統行事復活で心一つに田と田の間の境にある土を盛り上げたところを沖縄では「アブシ」という。

「アブシ」は農作業用の通路として重要な役割を担うものであるが、管理を怠ると雑草がはびこり、害虫の住む基地となって作物の生育、収量に大きな被害を与える原因となる。

県内の多くの農村においては、田植えの後の旧暦4月14日と15日に「アブシ」の草刈りを行い、害虫が遠くの地に立ち去って再び戻ってこないようにと祈願する「アブシバレー」という虫払いの伝統行事が実施されてきた。しかしながら、今日では農薬の使用や作物の変化などによってほとんどの農村においてこの行事は中止されている。

心の優しい平和を愛する私たちのご先祖の皆さまは、言葉の通じない害虫に対しても心からお祈りをささげて、日常生活の安定と向上を求めてきた。害虫はもっぱら自己の利益を求めて昼夜の区別なく空中を飛び回って、農作物に被害を与える悪い虫である。

さて、県内には戦後60年以上の長きにわたって昼夜の区別なく上空を飛び回っている害虫に似た行動をする新種の大型の害虫が住みついている。この害虫は低周波音を出し、騒音も激しい上に、時々墜落して県民の生命や財産を奪って大きな被害を与える悪虫(アムシ)である。

農業の害虫とこの新種の悪虫は、2つの共通点がある。

第一点は地域の住民に大きな被害を与えることである。第二点は自己の利益確保のためにのみ行動することである。

県民にとっては、基地も「アブシ」の一つであり、視野の狭いこれらの関係者の心にはびこっている雑草を刈り払い、悪虫を遠くの地に退去させて、再び戻ってこないようにと祈願する「アブシバレー」を復活する必要があると私は痛感している。

復活する「アブシバレー」は、仲井真弘多県知事や高嶺善伸県議会議長、稲嶺進名護市長などの県民代表の願いと一致するものであり、ほとんどすべての県民の願いを集約することができる新しい伝統行事として定着するものと思われる。

復帰40年の節目にあたる5月15日を「アブシバレー」の日として、今年から多くの県民が自発的に参加する悪虫払いの日とすることを提案したい。祈願する場所はどこでもよく、また願いがかなうといわれる15本のウコー(線香)を供えて祈願する、極めてシンプルな行事として取り組むことも可能である。

(大城喜信(おおしろきしん)、農業コンサルタント)

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