循環型産業の可能性

2.なぜ今、有機農業か

2011年1月25日:琉球新報寄稿

s_oosirosensei 農作物を栽培してより高い収穫を得るためには、肥料を与えなければならない。

人類が農業を始めた約1万年前から1800年代の初期まで、人糞(ぷん)尿や家畜の糞(ふん)尿および、その他の動植物の遺体などの有機物が肥料として利用されてきた。

化学肥料と呼ばれる人工的に製造された肥料が使われるようになったのは1840年以後である。化学肥料は、有機肥料に比べるとわずかの量で作物が必要とする養分を与えることができるので、世界中の多くの農家に利用されている。しかしながら、化学肥料を長く使い続けると土の中の微生物やミミズなどの小動物が死滅するので、土の性質が悪くなるという欠点がある。

さらに、作物は栄養過多になりやすくなるので、病害虫の被害に対する抵抗力も弱くなり、農薬を使わなければ農業ができなくなる。

これが残留農薬といわれる食の安全・安心を脅かす原因である。化学肥料と農薬は、地下水の汚染や生態系の破壊など多発する環境問題の原因にもなっているといわれている。

近年、食の安全性や環境問題を総合的に解決することを目的として、多くの国で、化学肥料農業から有機農業への転換に向けた取り組みが行われている。この動きは、今後ますます大きくなる国際的な流れであり、1日でも早く転換に成功した国の農産物は、国際競争力も強まり、農業発展のパスポートを手に入れることになる。

この大きな流れに乗り遅れないためには、本県も有機農業への転換を避けて通ることはできないので、私は、今年から官民一体となって有機農業への転換に取り組むことを提案したい。この転換を達成するためには、少なくとも10年の歳月が必要であり、2021年までに有機農業が定着すれば、沖縄農業が力強い産業として再構築されるのも夢ではないと期待している。

(大城喜信(おおしろきしん)、農業コンサルタント)

PAGETOP
Copyright © よんき産業研究会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.