循環型産業の可能性

4.平成の蔡温

2011年2月22日:琉球新報寄稿

s_oosirosensei 1609年の薩摩の侵略以来、今日に至るまで400年以上も本土に住む日本人たちは沖縄の人々が産出する富を奪い続けた。

その結果として、本県の企業家たちが必要とする十分な資本を蓄積するチャンスを妨げる制度的な基本構造が作り上げられた。

この目に見えない基本構造こそ本県に力強い産業が育たない根本的な原因である。

1972年の本土復帰後、多額の国庫資金が投入されたにもかかわらず、全国一高い失業率と全国一低い県民所得が改善されないまま、産業振興が切実な課題として県民の前に立ちはだかっている。

このような身動きもできない制約のある条件の下で、力強い産業を創出するためには、高度な知識と技術に裏打ちされた商品や技術を開発して国際市場にも進出できる独自の事業を数多く立ち上げて県民が一体となって支援する仕組みを創り上げることがベストの選択肢である。

具体的な事例を示すと森山嘉昭氏(元サン興産業社長)が1980年に世界に先駆けて開発し、実用化した微生物の事業がある。森山氏は複数の微生物の培養技術を確立して商品化と実用化技術の研究に取り組み、巨額の私財を投下してその事業化に成功した実業家である。

今日ではその商品と技術は、無農薬・有機農業に不可欠な素材として県内外の先進農家に広く活用され、安心安全を求める消費者に喜びを与えている。

同氏が発見し、確立した微生物を活用するこの新技術は、1840年にドイツの著名な土壌学者であるリービッヒが確立した化学肥料農業の上を行く地球規模で通用するものである。

同氏のご尽力と熱意は、沖縄の産業の恩人である具志頭親方「蔡温」を想起させるものがある。この偉業を成し遂げた森山嘉昭氏を私は「平成の蔡温」として尊敬し、25年も前から土壌学を修めた者として支援している。

(大城喜信(おおしろきしん)、農業コンサルタント)

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