循環型産業の可能性

6.沖縄農業の底力

2011年3月22日 :琉球新報寄稿

s_oosirosensei 平成17年現在、沖縄農業の県内総生産額に占める比率は1・5%であり、産業としての力強さは感じられない。

しかしながら、周辺離島や本島内の一部地域においては、産業の中核として重要な役割を果たしている。

1960年代に起こったサトウキビとパインアップルブームで体験したように、農業が活性化すると沖縄県経済も活性化し、失業率も低下するなど農業には大きな底力が潜んでいる。

視点を変えて、沖縄が琉球と呼ばれていた時代の農業が本土で発揮した大きな底力を記録に基づいて述べてみよう。

薩摩を介して本土で普及した唐芋(トーンム)は、サツマイモと名を変えて広く定着した。1732年の享保(きょうほう)の大飢饉(ききん)の時にその価値が認められ、将軍吉宗が普及を奨励したこともあって、その後に多発した明和・天明・文化・天保(てんぽう)の飢饉にも多くの人命を救った。現在は、鹿児島県や茨城県など多くの県で生食用あるいは加工用原料として利用されている。

黒砂糖とウコンは、島津氏の専売制度の下で堺や大阪の市場において高値で販売され、国民の食文化の向上や健康の維持増進に貢献した。さらに、多額の借金を抱えて困窮した薩摩藩の財政再建にも大きな効果を発揮し、明治維新で活躍した西郷隆盛やその他の多くの人材輩出にも寄与した。

沖縄県民の先達の皆さんが流した汗と血のにじむような労働によって築かれた農業は、多くの陰徳を積み上げ、日本の近代国家の成立にも底力を発揮したことは明らかな事実である。

今後の沖縄農業が大きな底力を発揮する可能性が高いのは、化学肥料農業から無農薬・有機農業に転換する時である。

その早急な実現に向けては、官民すべての関係者の知恵と創意・工夫を結集した取り組みが必要である。県民の産業振興に対する「やる気」と「力量」が試されることになる。

(大城喜信(おおしろきしん)、農業コンサルタント)

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